さくら、さくら・・・


ソメイヨシノの終わったあとは、花色の濃い定番の八重桜・・・ばかりじゃなかった!


大濠の遊歩道を一周して舞鶴公園西広場から名島門をくぐると、おお、薄いピンクの八重の桜が!とても、きれいだぞ。名札がついているのが嬉しい・・・


「イチヨウ(一葉)」と、「イトククリ(糸括り)」


イトククリは、ひとつひとつの花がふわっとした八重で、それらが野球ボールくらいの大きさにまとまっている。真球といえるくらいまとまりがいい。


イチヨウは、まとまりは少しいいかげん。だけど、イトククリよりさらにピンクが薄めで、花色はソメイヨシノそっくり。


両方とも若葉を共にしているけれど、葉は光合成しないといけないので、花の上の方に偏在。だから、木を下から見上げると、花がよく見える。


いいもの見たなあと気分上々で、道路を越えて福岡城址の石垣沿いに上っていくと、おお、シダレザクラが列をなしているではないか!シダレさんは、ソメイヨシノと開花期は変わらないのに花の命が長いなあ。風に逆らわない枝の構造が花の散りを最小限にしているのかな?

とはいえ、幾ひらの花びらが、風に舞っている・・・・


 シュナーベル  桜吹雪の  ソナタかな


僕はベートーヴェンの後期のピアノソナタが好き。ハイドシェックブレンデルを良く聴くけれど、ときどき古いレコードをダビングしたシュナーベルの演奏で聴きたくなる。実はこの日も大濠への車中で、32番の2楽章を聴いていた。とてもゆっくりだけど、突然速くなったり、強弱の付け方も独特で、低音が濁っていて・・・それらは、たぶん録音状態だけの話ではないだろうと思う。なのに、なんだか、聴いていて涙が出るくらいの時がある。なかでも、五月雨のようなピアノを聴くと<サクラ・フブキ>という言葉の響きを連想する。


シュナーベルのピアノは、誤解を恐れずに書くと、僕にとっては、まるで東北弁のように聴こえるのだ。訥々としていて、その中に熱い心情がある。震災にあわれた方々に対して、花見やピアノなどを語るのは、とても不謹慎かもしれないけれど、風に流して遠くに音楽を伝えることができるのなら、シュナーベルの桜吹雪のソナタを送りたい、それが、ほとんど自然のメッセージであるかのように聴かれることを願って・・・・


そうそう、イトククリ君とイチヨウさんの居た名島門の横には、藤棚があって、藤の小さな花が咲いていた。なんと棚の上に空の方を向いて!あかちゃんのころの藤の花は上向きなのね。これも何だか、春らしくて良かった!


今日はいろんな花をみたなあ。おおらかに咲き揃った原色のチューリップたち、チューリップの勢いにちょっとおされぎみに狭い領地に固まっているポピーたち、さらに控え目な白と赤茶のクリスマスローズ、斑入りの葉をベッドに鮮やかな紫色の花を咲かせているツルニチソウの群生など。


そして、木々は遅い春に大急ぎで新緑の葉っぱを吹き出していた。



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