ガザル(3) 切り拓く覚悟


Social Cafe TAOオーナー主催の集いに舞鶴公園に行った。
絶好の花見日和。満開の桜と若葉の欅。天に高く時に低く鳶の群れ。


皆が集まるなか、キャンプチェアに座り、久しぶりにハーフィズ詩集をめくる。

257の一節に目が止まる:


<運命に言え、「敵が全土を占領しても私に背を向けるな」と>


なんと強い調子だろう。いつもと違う響きだ。
最初から目を通す。予感の通り。決意なのか、覚悟なのか。


<わが宴を見よ。説教壇に上がる気がなくなろう>


数十万の義援金を集めて、3人の仲間と2トントラックで、東北支援を敢行して帰還したばかりのオーナーの心意気に呼応するかのようだ。

ペルシアでは「ハーフィズ占い」という習慣があるという。詩の力を感じる。

以下、全文。

なじみにくい口調だけれども、先へ先へと読み進ませる何かがあるようだ。



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顔を見せ、「生命を捨てよ」と、私に言え。
灯火の前で、火に「蛾の生命に燃え移れ」と言え。


わが渇いた唇を見ても、水を惜しむな。
自ら殺した者の傍に来て、土から起こせ。


金銀がないとて、貧乏人を見捨てるな。
そなたを悲しむ彼の涙を白銀、顔を黄金と思え。


竪琴を弾け、リュートがなくても構わない。
わが愛を火、心を香木、体を香炉と想え。


詩楽の集いに来て、古着を脱いで踊れ。
さもなくば、片隅に行き、わが古着をかぶれ。


頭から羊毛の衣を脱いで、澄んだ酒を飲め。
金を費やして、白銀の胸せる美女を己が胸に抱け。


友には恋人になれ、世界には敵になれ、と言え。
運命に言え、「敵が全土を占領しても私に背を向けるな」と。


恋人よ、去ろうとするな、しばし私と共にあれ。
小川のほとりで楽しみを求め、掌に酒杯を取れ。


そなたがわが胸から去れば、心の火と目の水で
わが顔は蒼く、唇は渇き、胸は濡れると想え。


ハーフィズよ、宴を飾り、説教師に言え。
「わが宴を見よ。説教壇に上がる気がなくなろう」


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[ original contents ]